【JAL・ANA企業研究】CAに求められる「多様性への対応力」とは?

【JAL・ANA企業研究】CAに求められる「多様性への対応力」とは?
エアライン企業研究

JALやANAのHPでよく出てくるダイバーシティ&インクルージョンってCAにどんなふうに影響するんだろう?

現在の航空業界では、お客様の多様性に対応できる能力がますます重要になっています。JAL(日本航空)やANA(全日本空輸)でも、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の観点から、どのような背景を持ったお客様にも適切なサービスを提供できる人材を求めています。

この記事では「多様性への対応力」を切り口にして、JALやANAの求める人材像を探っていきます。企業研究の参考にしてください!

多様性への対応力が求められる背景と理由

航空業界における「多様性への対応力」は重要です。それらの理由は以下の4つにまとめられます。

1.グローバル化の進展

世界各国との交流が進み、国内線でも外国からのお客様が増加しています。ANAやJALをはじめ、航空会社は国際線の運航を拡大し、多国籍なお客様をターゲットにしています。そのため、客室乗務員には異文化理解や多様な価値観を尊重する姿勢が求められています。

2.お客様の期待の多様化

近年では、航空業界に求められるサービスが多岐に渡るようになっています。食事のニーズや宗教的背景、健康上の配慮、さらには子供連れや高齢者、障害を持つ方々へのサービスなど、お客様一人ひとりのニーズが個別化しています。このため、柔軟で迅速な対応ができる客室乗務員が求められています。

3.SNSや口コミの普及

SNSや口コミサイトが普及する現代では、サービスの質が一瞬で拡散されます。お客様からのフィードバックは直接的な影響を与え、航空会社のブランドイメージに関わります。このような時代背景において、どんなお客様にも一貫した高品質なサービスを提供できる対応力が必要です。

4.社会的責任の意識の高まり

企業の社会的責任(CSR)が重視される中で、航空会社も多様性を尊重し、平等なサービス提供に力を入れています。特にJALやANAは「おもてなし」の精神を大切にし、すべてのお客様が快適に過ごせるよう配慮しています。これには客室乗務員の対応力が欠かせません。

中でも、近年多様性への対応が重要視される背景に、LGBTQ+をはじめとする多様な価値観を持つ人々への対応の必要性が挙げられます。社会の価値観が多様化し、企業や公共サービスもその変化に適応することが求められる時代です。

特に航空業界では、国際線の運航を通じてさまざまな文化、宗教、価値観を持つお客様と接する機会が多く、そのための柔軟で適切な対応力が欠かせません。

JALとANAのダイバーシティ&インクルージョンとは?

そのような背景の中、JALもANAもダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)という考え方を積極的に取り入れています。この考え方が、これからのCA(客室乗務員)に求められるスキルや人材像にどのように関わっているのか、詳しく見ていきましょう。

ダイバーシティ(多様性)とは?

ダイバーシティは、文化や価値観、性別、年齢、国籍など、あらゆる面で「違い」を尊重する考え方です。JALとANAでは、さまざまな背景を持つ人々が共に働き、サービスを提供することを重要視しています。

インクルージョン(包摂)とは?

インクルージョンは、誰もが自分らしく活躍できる環境を作ることを指します。JALとANAは、全ての従業員が平等に尊重され、意見やアイデアが活かされる職場づくりを進めています。例えば、障がいがある方、外国籍の方、異なる価値観を持つ方々が一緒に働ける環境を作ることが、企業としての成長に繋がると考えています。

JALとANAのダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み

  • JALの取り組み
    JALは、価値観や専門性の異なる多様な人材を積極的に採用し、インクルージョンを実現しています。「同質性の高い組織から多様性のある組織へ」として、従業員の価値観や感性を大切にしています。特に、外国籍社員の積極的な採用や、障がいを持つ方々の雇用拡大に力を入れており、グループ全体で多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。
  • ANAの取り組み
    ANAは「文化・言語・国籍・年齢・性別・障がい・能力を問わず、できるだけ多くの方が利用できるサービスを提供すること」をユニバーサルサービスとして定義し、全てのお客様が快適に過ごせるような環境を提供することに力を入れています。また、社会全体が抱える課題に対し、持続可能な共生社会の実現を目指しています。

D&Iの観点から見たJALとANAの求める人材像

JALの求めるCA像

JALの取り組みを踏まえて、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍する企業では、以下のような特性や能力が求められることが多いです。これらの要素は、多様性を受け入れ、組織の成功に貢献するために重要です。

柔軟性と適応力

異なる価値観や文化を持つ人々と協働する環境では、新しい状況や考え方に素早く適応できる力が重要です。
例: 文化的背景が異なる同僚や顧客に対して、適切かつ尊重のある対応を取れること。

コミュニケーション能力

多様性のある職場では、異なる視点や意見を調整する力が求められます。言語や非言語のコミュニケーションスキルが特に重要です。
例: 英語や他言語での意思疎通能力、表情やジェスチャーを駆使した伝達力。

共感力と多文化理解

他者の立場や文化的背景を理解し、共感できる力は、チームワークを促進する鍵です。
例: 異文化トレーニングの経験や、海外留学、国際的なプロジェクトへの参加。

問題解決能力

多様なアイデアや視点を統合し、課題を解決できる能力。これには、創造力と批判的思考力も含まれます。
例: 複数の視点を組み合わせて新しい提案を行った事例。

自律性と責任感

多様な職場では、自己管理能力とチーム全体の成功への責任感が求められます。
例: 異なるタイムゾーンや働き方を調整して効率的に仕事を進める能力。

包摂的な態度

他者を受け入れ、多様性をポジティブな要素として捉える姿勢が重要です。
例: 職場の意識向上ワークショップや、差別的行動を改善する活動への参加経験。

JALは「お客様第一」の精神を掲げ、ホスピタリティを重要視しています。企業の公式サイトには、「お客様のニーズを超えるサービスを提供すること」を社員に期待していると記載されています。特に国際線では、異なる文化背景を持つお客様が多いため、その多様性に対応する柔軟な考え方と行動力が求められます。

例えば、JALは「おもてなし」の精神を大切にし、文化や言語の違いを理解し、尊重する姿勢を持つ客室乗務員を求めています。外国語のスキルや異文化理解が大切であると同時に、お客様一人ひとりに合わせた対応ができる柔軟性が重要です。さらに、JALではお客様の安全を最優先にしつつ、安心感を与えるサービスを提供できる能力も求められます。

ANAの求めるCA

「ユニバーサルサービス」を重視し、誰もが快適に利用できる環境作りに力を入れる企業では、以下のような人材像が求められると考えられます。これらは、顧客体験の向上と共生社会の実現に寄与するための要件です。

多様性への理解と受容

多様なバックグラウンドやニーズを持つ人々に対応するには、多様性を理解し受け入れる姿勢が必要です。
例: 異文化間トレーニングの経験や、多様な顧客対応を通じて得た洞察。

ホスピタリティ精神

全てのお客様が快適に過ごせる環境を提供するためには、顧客一人一人に配慮し、心からのおもてなしを提供する精神が求められます。
例: 特別なニーズを持つお客様に対してきめ細やかな対応を行った経験。

課題解決能力

お客様のの多様なニーズや突発的な問題に迅速に対応し、適切な解決策を提供できる能力が重要です。
例: 特殊な要件を持つお客様の要望を満たすために、他部署と連携して問題を解決した事例。

ユニバーサルデザインへの意識

物理的なサービスだけでなく、情報提供やコミュニケーション手段においても、ユニバーサルデザインを意識した行動が求められます。
例: 視覚・聴覚障がいのある方への情報提供方法を工夫した経験。

環境と社会への意識

持続可能な共生社会を目指す企業では、環境問題や社会的課題に関心を持ち、日々の業務を通じて貢献しようとする姿勢が評価されます。
例: 環境に配慮したサービスやプロジェクトに参加した経験。

協調性とリーダーシップ

多様なチームメンバーと協働する場面が多いため、協調性がありながらも、状況に応じてリーダーシップを発揮できる人材が求められます。
例: 他国籍の同僚と協働し、成功したプロジェクトの経験。

ANAもJAL同様に「お客様第一」を掲げ、サービス力や共感力を大切にしています。グループの経営理念に「いつもお客様に寄り添う」気持ち、「心の翼」と書かれています。

これは、乗客一人ひとりの状況や気持ちに寄り添い、最適な対応ができる力を意味します。ANAでは、多文化を背景にしたお客様に対しても、高いレベルでのホスピタリティを提供できる能力を重視しています。

航空業界で求められる「多様性対応力」とは?

どちらも共通しているのは「チームワークの重要性」です。客室乗務員は個々の対応力が求められる一方で、他の乗務員との連携も不可欠です。お客様へのサービスは一人では成し遂げられません。乗務員同士が協力し合い、お互いに支え合う姿勢が必要とされています。

JALやANAの客室乗務員として活躍するためには、次のようなスタンスや考え方が求められます。

  • お客様一人ひとりに寄り添う姿勢:多様なお客様が利用する航空会社では、それぞれのニーズに合った対応ができることが重要です。JALやANAが強調しているのは、お客様の感情や期待に敏感に対応できる「共感力」です。
  • 柔軟で迅速な対応力:トラブルや予期せぬ状況に直面した際、冷静かつ柔軟に対応できる能力が求められます。特に国際線の場合、文化の違いを理解し、適切なサービスを提供することが求められます。
  • チームワークと協調性:客室乗務員は一人で全てをこなすわけではありません。チーム全体の協力と調和が重要です。ANAでは、チームとしてのサービスの質を高めるための連携が求められています。
  • 継続的な自己成長への意識:JALやANAでは、定期的な研修や自己研鑽を重視しています。客室乗務員として成長し続ける意識を持つことが大切です。

JAL&ANAのCAになるために

JALとANAのダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みからそれぞれ求める客室乗務員像をみてきました。どちらも多様性のある社会に適応し、さまざまなお客様にサービスを提供できる能力を求めています。

これから客室乗務員を目指す方々には、多様性を尊重し、文化や背景に配慮したサービスができる能力が求められます。異なる価値観を理解し、柔軟に対応できる力を養うことが、JALやANAの求める人材像に近づく第一歩となります。

また、エアライン受験生にとって、JALとANAの違いを見つけるのは難しいかもしれません。けれども、さまざまな切り口から両社の求める人材像を理解すれば、JALやANAで伝える自分の強みも見つけやすくなりますよ!

JALやANAの企業研究のやり方はこちらで解説