客室乗務員の訓練について

客室乗務員 仕事

エアラインの客室乗務員になるための訓練は基本的なことは各社ほとんど一緒ですが、詳細は会社によっても違って来ます。

 

ここでお伝えしている事は過去の欧米系エアライン3社の訓練経験を基にしていますが、あくまでも、大まかな概要です。内容も変化していることもありますので、参考程度にご覧下さい。

 

また、客室乗務員を目指す方にはエアライン訓練の内容を具体的に知ることによりどのような資質が求められているのかをつかむことができます。

 

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客室乗務員の訓練スタート!

面接やメディカルチェックにパスして、合格のレターを受け取り喜びにひたっている方も多いと思います。特に初めて客室乗務員としてトレーニングを受ける方にとっては、これから起こる未知の出来事に期待と不安が入り交じり、複雑な気持ちかも知れません。

 

ここでは、合格後の客室乗務員の訓練でどのようなことが行われるのかをお伝えします。トレーニングの詳細まで事細かくはエアラインごとに違うためにお伝えできませんが、トレーニングで行われる内容などのベーシックなアイデアを知る事によって、トレーニングを無事卒業できるための基礎知識を身につけることができます。

 

エアラインそれぞれトレーニングには力を入れており、そのやり方は様々ですが、内容はどこのエアラインもだいたい一緒です。

 

期間は、だいたい6週間から8週間くらい。長いところは3、4ヶ月かけて行います。月曜日から金曜日までほぼ9時~5時までみっちりスケジュールが組み込まれています。

 

中身は、主にセーフティ、ファーストエイドなどの保安要員としての訓練とサービス要員としてInflight service(インフライトサービス)の知識を身につけるための訓練の2種類を中心に行われます。

 

また、訓練途中にはエアラインによって、お化粧の仕方、食事のマナーを身につけるためのマナー講習、ケータリング見学など+αのプログラムなどもあります。

 

外資系エアラインなどは、本国でトレーニングを受けます。トレーニングは、英語で行われ日本人のグループだけだったり、他のベースの人達と一緒だったりエアラインのトレーニングシステムや状況によって変わります。

 

通常入社する飛行機で現地入りすることになります。訓練所の中に宿泊施設が併設されているエアラインもあれば、エアラインがあらかじめ用意したホテルから通うこともあります。

 

トレーニング中の雰囲気は、エアラインのカラーや、担当するインストラクターによってまちまちです。終始和やかな所もあれば、厳しい所(特にアメリカのエアライン)は、軍隊を思わせるような規律を要求されたり、毎週テストで平均80点を割ったら即刻帰国というプレッシャーをかけられたりしてストレスのかかるトレーニング生活となります。いずれにせよ、どこでもやっていけるという柔軟性や適応力、自立心精神的な強さなどが必要です。

 

トレーニングの最初の方で、これから肌身離さず身につけることとなる身分証明書の“ID”作りや入社に必要な書類作成、メディカルチェック、などトレーニングとは違うAdministrative formalitiesと呼ばれる各種手続きをします。

 

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セーフティトレーニング

ご存知の通り、お客様の安全を守ることは客室乗務員の仕事の中で最も重要な役割です。ですので、全てのエアラインではこのセーフティトレーニングに重点を置いています。

 

セーフティトレーニングの内容

エアラインで決められている、客室乗務員の規則や健康に関する規則、乗務時間についてなどの一般的なトレーニング。そして、実践の訓練としてDoor operating proceduresと呼ばれる飛行機のドアの開け閉め,Arming, Disarming、お客様に関する規則(喫煙、給油時、座席の方針、車いすやストレッチャーなどの特別な援助が必要なお客様への対応方針)、コックピットの対応などなど多岐にわたります。

 

飛行機のドアにはEscape slideという緊急時脱出する際の滑り台(水上着陸時は救命ボート:raft)がたたまれていています。(飛行機の機種によりドアの形状等、またarmingやdisarmingのやり方は違います。)armedの状態は、飛行機のドアが開くと自動的にこのEscape slideが膨らんで使用できるようになります。

 

Disarmedの状態はドアを開けても何も起こりません。通常、飛行機が着陸して地上にいるときはDisarmedの状態です。お客様が搭乗しドアが閉まってtaxing(滑走路まで向かう時)から飛行中そして着陸しparking stand(駐機地)に入る間際までarmedの状態です。

 

また、機内の安全設備、たとえば消火器、Smoke hood(煙から守るかぶり物)、携帯酸素ボトル、サバイバルグッズ、電灯、消火用斧などの使い方と飛行機の機種によって位置が違うのでそれを覚えたりします。自分の乗る飛行機の機種によって変わります。3機種乗務予定の場合は、3機種それぞれのDoor operating proceduresと安全設備等の位置を覚えなくてはなりません。

緊急時の対応

緊急時の対応はこのトレーニングの中でも一番重要です。ですので、実践テストが行われます。緊急時に起こりうるすべての対応を覚え、シナリオを想定して機内を模したモックアップで実際訓練します。

 

コックピットから客室まで機内にある安全設備の使い方は実際インストラクターから一つ一つ丁寧に説明してもらい、装着したり操作しながら学びます。

 

この緊急時のシナリオを使った訓練は、すべて過去の事故や実際に起こる可能性のあるものでもあるので非常に緊張感があります。

 

実際非常事態が起きたときにすぐに対応出来るよう、その際使用するコマンド(お客様を誘導する際に伝える言葉)例えば”頭を下げてHead down”などのセリフを覚えて、しっかり大きな声で叫ぶこと、そして状況に合わせてマニュアル通りに動くことが要求されます。

 

飛行機を作っている会社などでは、満席時、半分のドアが使えなくても残りのドアを使ってお客様を脱出させるのに90秒を目安にしています。なぜ半分のドアが使えない想定をしているかと言いますと、緊急脱出の際ドアが壊れて開かなかったり、外が火災や障害物で開けられないなどを想定しているからだそうです。

 

また、機内での火災を想定して消火器、消火用の斧(機内の壁などをはがす時に使います。)、Smoke hood(消火時に煙を吸わないためのかぶりもの)また、耐火用のグローブなど使用して実際の火を消す訓練などもします。

 

Ditching(川や海などに着水した場合)の想定練習で、エアラインによっては実際のプールを使って泳ぐ必要があるところもあります。着衣のまま水の中で泳ぐ練習や、escape slide(緊急脱出の際の滑り台)を飛行機から切り離し、raft(救命ボート)として使用するときの方法や水の中でのサバイバル法などを学びます。

サバイバル術

最も過酷な環境下(沙漠、海上、ジャングル、北極など)で生き残るために必要な知識を学びます。プールでライフベストをつけて泳ぐ訓練や、life raft(救命ボート)に実際にのって、屋根をつける訓練なども行います。

 

トレーニングで習う事の中には、これらのサバイバル法やファーストエイド、消火訓練など実生活にも役に立つことが非常に多いです。

 

セキュリティ

911テロ以降、お客様や乗務員の安全そして機内全体の安全を脅かさないためにセキュリティ関係のトレーニングもかなり重要視されています。たとえば、手に負えないお客様、爆弾予告、ハイジャックなどに対処の仕方や早く気付くための手段などを学びます。

 

火薬や火気などの機内持ち込みなど、Dangerous goods(安全飛行を脅かす可能性のあるもの)の規則に関するテストだけは、マニュアルを見ながら受けられる唯一の試験です。(*エアラインによって状況は変わります。)

 

また、機内で迷惑行為などを行うお客様に対して(例えば酔いすぎて、乗務員に言葉の暴力や実際の暴力を振るったり、機内での禁止行為を行ったりする場合、最悪Disruptive passenger(破壊的な行為をする乗客)として、安全運航と他のお客様の安全を守るためにそのお客様の行動の自由を一時的に制御することがあります。

 

そのために、Restraint kit(お客様をイスなどに縛り付けるために必要な道具がはいったもの)の中身の使い方を訓練します。そして実際本物の手錠を使いお客様役の訓練生をイスにしばりつけ練習します。

 

Restraint kitの訓練風景はこちら

 

また、身を守る護身術なども学んだりすることもあります。

 

ファーストエイド

AVMED(Aviation Medical)などとも呼ばれています。このセクションでは、機内での急病人に対する救命救急法を学びます。病気の兆候や、症状など心臓発作や脳梗塞など命に関わるものから、鼻血(nose bleed)、飛行機酔い(motion sickness)、歯痛(toothache)など直接命には関係しないモノまで多岐にわたります。

 

また、このセクションではAED(Automated defibrillator)の使用方法やCPR(cardio pulmonary resuscitation)と呼ばれる*心肺蘇生法なども訓練します。

 

特に、機内で起こりやすい貧血、やけどなどの対処法なども学びます。

 

ファーストエイドのテストは記述と実践(Practical)両方行われ、その中にはAEDを使用してその後CPRを行うなど一連の動きをマネキンを使って行ったりします。

Crew Resource Management(CRM)

CRMとはオペレーションから地上スタッフ等を含めたエアラインの従業員が関わる欠かせないツールです。安全運航をするために、操縦室内で得られ、そして利用できる全てのリソース(人、機器、情報など)を有効活用させることです。フライトを構成するチームメンバーの力を集結して、業務遂行能力を向上させることが狙いです。

 

インストラクター、客室乗務員そして運航乗務員(Flight deck crew)の間で、コミュニケーション、リーダーシップ、チームワーク、状況認識、問題解決、意志決定などのトピックが話し合われます。その中には、コミュニケーションの欠如により引き起こされた過去の事故や安全に関わる事例がビデオなどで紹介されます。

セーフティ関連のテスト

エアラインによって内容ややり方は異なりますが、ほとんどのテストはマルチプルチョイスがベースとなったものです。だいたい合格平均点は80%以上を求めるところが多いです。実践テスト(Practical Exam)は合格か不合格のみです。

 

たいていのエアラインは筆記テストに落ちても追試を用意しているところが多いですが、実践テストはとても重要で、落ちることは想定されていません。自信を持ってできるようになるまで何度も練習しましょう。

 

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機内サービストレーニング

客室乗務員のイニシャルトレーニングのもう一つに機内サービスのトレーニングがあります。食事から飲み物、アメニティ、フリークエントフライヤープログラムなどなど機内のサービスに関わる商品や知識全てをここで習います。そしてそれらは全て頭の中に入れる必要があります。

 

機内サービスに関連して起こりそうなシナリオをベースにして、訓練生同士客室乗務員役と乗客を交代しながら練習していきます。中には、習ってきたことをモックアップで披露する実践テストがあるエアラインもあります。

 

フルサービスキャリアは、食事に関することや飲み物に関することなどの知識も必要なので飲食業などの経験がない訓練生にとっては覚えることがたくさんあるかもしれませんが、すべてしっかり説明してくれますのであせらず実践で慌てないよう着実に頭の中に入れておくようにしましょう。

 

機内で働く際、お食事などスムースに機内サービスを行う為に重要なポジションが”ギャレーポジション”です。

 

ギャレーとは、機内のミール(お食事)サービスをすべて取り仕切るポジションです。ファーストクラスやビジネスクラスは、搭載されたミールの数の確認から始まって飲み物やお食事のセットアップ。そして、お客様にお食事のオーダーを取り、メインミールを温める作業など、一連の機内サービスを滞りなく行う為に、通路に出て働くCrewと息を合わせてコーディネイトしていかなくてはなりません。

 

客室乗務員はポジションによって、機内での担当場所や役割などがあらかじめ決まっています。

 

ギャレーポジションは、ある程度経験を積んだ人や資格を持った人、もしくはパーサーが担当するエアラインもあれば、誰でも当たる可能性があるというシステムだったりエアラインによって違います。

 

また、働くクラス(ファースト、ビジネス、エコノミークラス)によってギャレーの担当者が手分けをしてやるポジションもありそれらもエアラインごとに決まっていてまちまちです。

 

このギャレーポジションの力量でサービスが決まると言っても過言ではなく、Time  Management(時間管理)、オーガナイズ(整理)力や効率的に動くことが不可欠です。でも、初心者がいきなりこのポジションを担当することもあるエアラインは、そうとう緊張しますね。

客室乗務員の仕事の流れがわかる動画はこちら

機内サービストレーニングで様々なシチュエーションを想定して訓練をしますが、実際フライト中に起こることは結構トレーニング通りというわけにはいかないこともあります。その方がむしろ多いかもしれません。最初はとまどうこともあるかもしれませんが、何事も経験を積み重ねることでスキルが身に付いていきますので、あまり心配しないようにしましょう。

 

Grooming(身だしなみ)

この訓練は、トレーニング中の中でももっともリラックスして楽しめるものです。ユニフォームスタンダードにのっとった、着こなし方を学んだり、それにあったメークアップなど習います。また、アクセサリーの数や、口紅の色、マニュキュアの色など詳細に決められているエアラインもあります。

 

その他

他にも様々な訓練があります。

例えば、

入国書類(immigration card)や税関申告書(custom declaration form)また、その他にも国によっては入国の際に必要な書類などの書き方

 

また、機内免罪品販売の時に使用する機械の使い方。クレジットカードでの支払時の機械操作などそして、免税品販売担当したときの必要書類の書き方

 

その他にもエアラインによって、様々な訓練があります。

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トレーニングフライト:OJT (On the job training)

これも訓練終了後に行われたり、訓練中に行われたりエアラインによって違います。イギリスの航空会社では訓練が終わった後、帰国する便がそのままトレーニングフライトでした。

 

私が働いたアメリカの航空会社では訓練中に国内線を3回飛びました。そのときは、まだ制服が出来上がっていず私服にTrainee(訓練中)というバッジをつけて乗務しました。国際線での採用だったので、国内線の経験は貴重な経験でした。

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訓練修了Wing Ceremony(ウィングセレモニー)

試験をパスし訓練を無事修了すると、修了式が行われます。アメリカのエアラインではWing Ceremony(ウィングセレモニー)が行われ、一人一人名前を呼ばれ制服につけるバッジをもらい握手して写真撮影をします。

 

苦しかった訓練が終わりチームメンバーみんなでその感動を分かち合える嬉しいひとときです。

Wing Ceremonyの様子がわかる動画はこちら

日系エアラインの訓練風景

JALの客室乗務員緊急脱出訓練の動画はこちら

外資系エアラインの訓練風景

外資系エアラインの訓練などを紹介している動画を見つけましたので参考にご紹介します。

エミレーツ航空の訓練風景はこちら

 

ガルーダインドネシアのトレーニング風景

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